私の何でもない日常の中の「袖ふれ合えなかった」件
- 2月18日
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将棋を愛してやまない孫がいる。月に数度「将棋道場」と、私と孫とのみが呼び習わしている所に通っている。ここは「お願いします」と言われたら、対局を断ってはならないという重要なルールがあって、有段者とも級が上位の方とも指せるという。
その話を聞き、「頼もう・どうれ・一手ご指南願いたい」というような時代劇の一場面が浮かんできたので、祖母主導で名付けた次第です。(笑、古い)
ここで、年配の方に指導を受けて、他方、入門したての自分より年下の子とも対戦していく。実力の差は「駒落ち」という形をとるらしい。このあたりが、祖母の好みであるので、道場への孫の送迎に励んでいます。
さて、少し前、孫を迎えに行った時のこと。
年配の品の良い女性が、責任者の方と将棋盤を前にしておられるのを目にしました。離れたところで窺っていると、どうやら駒の動かし方を教えてもらいながらの対戦中らしい。
<なんということ!>
帰途の車中で孫から「今日、年下の子を負かせてしまったこと、その子が泣きそうだったけど泣かなかったこと、終わった後、どこをどうしたらよかったか説明したこと、次、めげないで来てくれるかな」などの話を聞き、孫の良さ・・・バアバのひいき目・・・に浸ったそのあと、件の女性のことを聞き出す。
何でも、「私と同じくらいの年配で、将棋がしてみたくて、老人クラブに行って、教えて欲しいと申し出たけれど、そこでは駒の動かし方も知らない人は来てもらえないと断られたと。<そんなもんか>、それでここなら教えてもらえるかもと、来たんだって。<なんと行動的!>責任者が2時間以上、丁寧に教えていたよ。」<ここはそういうところがいいよな。道場という呼び名にぴったり>と、じんわり温かさが満ちてきました。
孫が突如言い出す。「ばあばもやってみたらどう?」「友だちになれるよ。きっと。」<絶句。できるわけないじゃん。>
「やってみたら」孫の表情はいたってまじめ。
<あのね、ばあばは小言は上手だけど、将棋はできそうにないわ・・・でも、考えてみてもいいかな>と、ほんの少し心惹かれました。
かの女性のエネルギーと好奇心・行動力。魅力的な方に違いない<お友だち、いいかも>
そして、翌々週になりました。孫の報告「『将棋は難しいのであきらめます』ってことになったらしい。」<そうか・・・>
というわけで、袖ふれ合うこともなく、したがって多生の縁も生まれることはなかった、この一件。私の妄想に終わりました。
残念?いやいや、良かった。将棋やらずにすみました。できるわけありません。

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